
ワーキングホリデーで完全な英語環境を作る方法の一つが、ローカルレストランやローカルカフェなど、日本人が少なく日本語を話す機会の少ない職場で働くことです。周りに日本人がいれば、どうしても母国語の話しやすさから日本語を使ってしまうもの。その点、周囲を日本語が通じない人たちで固めるのは、私自身の経験からもかなり有効な方法だと断言できます。
また、できるだけネイティブスピーカーが多い職場を選ぶことで、日常的に自然な英語表現を学ぶことができます。ただし、そう簡単にローカルの職場が見つかるわけではありません。「見つかるならもうやってる」「面接で通らないから困っている」ーーそんな英語学習者の方も多いでしょう。
今回は、私がワーホリ3カ国中2カ国でローカル職場に採用され、さらに複数のジョブオファーを得た経験から、ローカル職場に採用されやすくなる戦略とコツを紹介します。
スキルを前もって身につけておく

職場ではコミュニケーション能力も大切ですが、最も重視されるのは仕事をこなすスキルです。特に海外では「どんな仕事ができるか」「どんな経験があるか」といった実務的な面を問われることが多い印象です。英語が母国語ではないうえに、業務経験もないとなると、雇用主から見れば採用をためらうのも当然です。
例えば「ローカルカフェで働きたい」と思うなら、日本でカフェのアルバイト経験を積んでおきましょう。国が違っても仕事内容に大きな違いはありません。
オーストラリア・カナダ・ニュージーランドなどでは、多くの職場で面接後に「トライアル」と呼ばれる短時間のお試し勤務があります。スキルを事前に身につけておくことで、このトライアルの際に実力をアピールできます。
このとき、無理に“完璧なパフォーマンス”をしようとする必要はありません。雇用主も「面接で話した内容が本当か」を確認する程度のつもりなので、落ち着いて普段通りに仕事をこなすことを意識しましょう。
私の場合、オーストラリア滞在後に日本でガソリンスタンドのアルバイトを経験し、その後カナダとニュージーランドで整備士として働きました。ガソリンスタンドで軽整備を学んでいたことで、トライアル時にオイル交換とタイヤ交換を実演できました。車種は日本ではあまり見かけない外車(Dodge)でしたが、基本構造は同じなので問題なく終えられ、「基本はよく理解しているね」と現場監督に評価されました。このように、事前にスキルを持っている人は教える手間が省けるため、採用されやすくなります。
業務に関連する英語を中心に覚えておく

その仕事に関連する英単語や表現を覚えておくと、面接やトライアルで有利になります。たとえばカフェなら、マシンの名称や作業動作など、日常英会話では出てこない“専門用語”を覚えるのがポイントです。
私の経験では、整備の現場で「エンジンオイルの量を測る棒」を、日本では“レベルゲージ”と呼びますが、カナダやニュージーランドでは “dipstick(ディップスティック)” と呼んでいました。また、「ネジを締める/緩める」は “tighten”/“loosen” です。
こうした単語を知っているだけで、トライアル時の作業もスムーズになり、多少英語が不慣れでも仕事上のコミュニケーションが取れるという安心感を与えられます。
関連する資格を取得しておく

業務に少しでも関係する資格は、小さなものでも取得しておくとアピールになります。私の場合、ガソリンスタンドで「危険物取扱者乙4」と、会社独自の「タイヤ空気圧点検資格」を取得しました。これらを専門の翻訳家に依頼して英訳してもらい、履歴書(レジュメ)と一緒に提出していました。
乙4は日本では正式な資格ですが、海外では効力がないものの、「正式な証明書を英訳付きで提示できる」というだけで印象がまったく違います。実際、コンビニ併設のガソリンスタンドでは乙4が好印象でしたし、タイヤ空気圧の資格は整備工場やタイヤショップで高評価でした。
たとえ1日で取れる簡単な資格でも、証明書があること自体が信頼につながるので、取得できるチャンスがあれば積極的に受けておきましょう。ちなみに、ローカルカフェでの仕事を目指す方には、1日講習で取れる「コーヒーインストラクター3級」もおすすめです。
まとめ
私はここで紹介した3つの準備を出国前に整えていたおかげで、「仕事を選ぶ余裕がない」と言われがちな海外の職探しでも、自分が働きたい職場を選べる立場で活動することができました。
ローカル職場で働くことは、英語力の向上だけでなく、文化の違いを肌で感じたり、海外で“自分を通用させる力”を身につける絶好のチャンスでもあります。採用されるか不安な人も、焦らず、できる準備を一つずつ積み重ねていけば必ず道は開けます。
大切なのは「英語が完璧であること」ではなく、「仕事に対して誠実であること」や「学ぶ姿勢を見せること」。その姿勢こそが、ローカル職場で信頼を得る一番の近道だと思います。
これから海外でローカルジョブに挑戦したい方の背中を少しでも押せたら嬉しいです。
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